風の音にぞ驚かれぬる
10月 9th, 2010 by info
途切れることのない真夏日だの、熱帯夜などと記録ずくめの猛暑といわれた2010年の夏は、そのまま行けば来年の春を通り越して2011年の夏にバトンタッチもしかねないと思わせるほどに、人々を呆れさせ、辟易させました。事ほど左様に、八月の末ともなればテレビの天気予報は、連日、記録が更新されただの、こんな気温は初めてだのと、騒ぎ立てていました。私がここで少し引っかかるのは、記録的な何々と言う時には、その背景を踏まえた必然性の有無を考慮しなければならないのではないかという点であります。つまり、植木屋で購入し庭に植えた苗木が日々成長して毎日記録を更新していっても、これを日々新記録とは呼ばないだろうということです。なぜなら、樹木はある時期必ず一定程度の伸長を呈するという必然性があるからであります。
地球温暖化が叫ばれて久しいのですが、人類の打つ手はいずれもpublic hazardsの後を追いかけて行くのであるから、それを食い止めることが出来るわけもないのです。それは、強風に煽られる野火の風上から細やかに水を撒いている様に似ています。結果、地球の大気圏温度は徐々に上昇してゆくという必然性の下に、予想通りの記録が残ることになります。そして、来年になれば、またまた「新記録」の夏になるのであります。もしも、予想が外れて、これまでにない冷夏にでもなったら、これこそ新記録というべきであって、そこにはsurpriseがあります。語法としては誤りでないにしても、語用としてはやや違和感の残る所でありました。
しかしながら、時は移ろい、日は翳り、風の音にぞ驚かれぬる。斯くも獰猛な夏も、膨張しつつある秋の気配に追い立てられるように、その後ろ姿の少しずつ霞んでゆくのがわかります。朝夕の温度はこのところ急激に下がり、愈々、吹く風は肌寒いとさえ感じるほどになりましたが、もんちゃんを連れて散歩に出かける時は、真夏の恰好と同じです。もうしばらくは伊達の薄着といわれようとも、滅多な事ではセーターやコートを羽織ったりはしないつもりです。朝な夕な、道行く人たちのいでたちは、あれほど嫌った暑さの夏を忘れてしまったかのようにな変節振りを見せている、と言うのは少し言いすぎでしょうか。 (Mann Tomomatsu)
君待跡 吾戀居者 我屋戸乃 簾令動 秋之風吹
かと思った。
Boo&Memeの散歩に海まで行く時は薄手のウインドブレーカーがいるようになりました